映画秘宝 連載「タランティーノ《地獄のバスターズ》への道」‐第6回‐

イングロリアス・バスターズ-メラニー・ロラン-2
第6回 任務はひとつナチを殺して頭の皮を剥げ!!ブラピが仰天命令を下すタランティーノ自ら編集の予告編が撮影終了と同時に初公開!!
     映画秘宝2009年5月号掲載(2009年3月21日発行) → 


http://www.traileraddict.com/emd/8783
「イングロリアス・バスターズ」の予告編(↑)が2月10日にアメリカの芸能番組で世界初公開され、続けてネットや海外の映画館でも上映されました!!
「イングロリアス・バスターズ」は1月末で終わる撮影が2月上旬まで長引いたので、約4ヶ月間の撮影が終わるか、終わらないうちに予告編公開という、超特急製作の「イングロリアス・バスターズ」らしいハイペースです。
そこで今回は、タランティーノが自分で編集した予告編の内容を紹介します。
予告編は、ブラッド・ピットのアルド中尉が軍の本部の中庭のような所で兵隊やくざらに演説調で命令を下す場面を軸に、様々なシーンのカットをインサートし、ブラピの言葉をナレーション代わりに映画の内容を説明する構成です。
ブラピは役の設定で、ひどい南部訛りで話すのが特徴的です。タランティーノは予告編と共に出したコメントで、ブラピが撮影期間中、カメラの外でも訛った話し方を続け、役になりきってくれたことに感激したそうです。
アルド中尉は「任務はただひとつ、ナチを殺せ!!」とストレートな命令の檄を飛ばしますが、元ネタ映画の「特攻大作戦」にも似たシーンがあり、ブラピは同映画のリー・マーヴィンを彷彿とさせています。
続けてアルド中尉は、「ナチは侵略・殺し・拷問でヨーロッパを恐怖に陥れている。俺たちは同じ恐怖を奴らにお返しするのだ」といったことを語り、画面はアルド中尉から額にナチのシンボルのカギ十字を刻み込む拷問を受けたドイツ兵や、ナチを射殺する映画女優役のダイアン・クルーガー、ユダヤ人ハンターのSS将校ハンス(↓)に家族を惨殺されたヒロインのショーザンナが血まみれで泣きながら走るショッキングな姿が映し出されます。
イングロリアス・バスターズ-クリストフ・ワルツ-1
このショーザンナ役は前回、メラニー・ロランと紹介しましたが、別にヤング・ショーザンナとしてフランスの新進女優レア・セイドゥもショーザンナ役にクレジットされています。年齢が2歳違うだけのレアとメラニーをタランティーノがどう使い分けたのか?、少し不思議ですが、レア・セイドゥの祖父はフランスの映画会社パセの社長で、大伯父もフランスの映画会社ゴーモントの社長というフランス映画界を牛耳る一族です。そんなお嬢さま起用とは、タランティーノはフランス映画界の大物を味方に「イングロリアス・バスターズ」をプレミア上映するカンヌ映画祭で賞狙いの魂胆?とも思われそうですが、レアは今年2009年1月にリュミエール賞新人賞を受賞した個性の評価されている女優です。
また、予告編では、クレイジーな軍曹役で出演のイーライ・ロス監督(「ホステル」)が作った映画中映画「民族の誇り」の白黒映像も2カット観られます。
イーライ・ロス監督は「イングロリアス・バスターズ」の元ネタ映画として連載のタイトルにもある「地獄のバスターズ」を参考に、このナチのプロパガンダ映画を作ったそうです。「地獄のバスターズ」の監督エンツォ・G・カステラッリもナチ将校役でカメオ出演しています。
予告編の最後では独裁者ヒトラーが登場し、兵隊やくざらに翻弄された怒りをぶちまけています!!、タランティーノのヒトラーはドイツの俳優マルティン・ヴトケです。ヒトラーがモデルの役を舞台でアタリ役にした名優ですが、タランティーノはヴトケにヒトラーのオーラを憑依させようと実際にヒトラーがはめていた腕時計を入手し、ヴトケに着けさせています…。独裁者の時計の針を戻し、再び時を刻ませることでナチの暗黒時代と「イングロリアス・バスターズ」はヴァーチャルに時間を共有しようというタランティーノの恐ろしい演出です。
イングロリアス・バスターズ-ブラッド・ピット-2
さて、ブラピのアルド中尉は予告編をシメる決めゼリフとして、こんなメチャ乱暴を兵隊やくざたちに言い放っています。
「お前ら、ひとりずつ最低100人はナチの頭の皮ひん剥いて、俺に持って来い!!」、兵隊やくざは8人部隊なので…ブラピは800人のナチの頭の皮を剥ぐつもりです!!、殺すより頭の皮を剥ぐのに疲れるかも?!
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