ダニエル・クレイグ主演の感動的な戦争ドラマ「ディファイアンス」(2008年)が日本公開中のエドワード・ズウィック監督(↑)がメルヴィルの「白鯨」のその後…はもっと強烈だったッ!!という実話を映画化します!!
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トム・クルーズと渡辺謙さんの「ラスト・サムライ」(2003年)や、レオナルド・ディカプリオの「ブラッド・ダイヤモンド」(2006年)など、ベタな恋愛劇さえ足さなければ、もっと骨太な映画に仕上がって巨匠になれるのに、その一歩手前のメロドラマ監督でもたついているエドワード・ズウィックが、エイハブ船長と白いマッコウクジラの闘いを描いたハーマン・メルヴィルの有名な海洋小説「白鯨」の元ネタになった実際の事件を記録したノンフィクション「復讐する海/捕鯨船エセックス号の悲劇」を映画化することになりました。
同翻訳本を出版する集英社の紹介によれば…
1819年、ナンタケット島を出航したエセックス号はクジラに襲われ、乗組員は漂流、生還したのは数名にすぎなかった。『白鯨』のもととなったアメリカ捕鯨史上最悪の悲劇を再現。
全米図書賞受賞作。
…とのことで、著者のナサニエル・フィルブリックは1986年からマサチューセッツ州のナンタケット島に暮らし、綿密な調査を行い、エセックス号の乗組員だった当時14歳のトーマス・ニッカーソンが生還後に書き残したノートを元にして、同書を2001年に出版しました。
お話としては、短いあらすじのようにクジラとの闘いよりは、その後、破損し沈没する捕鯨船から脱出した20名の乗組員らが、海上で90日間漂流する間に何があったのか?!、生きてナンタケット島に戻れた8名が下した驚愕の決断など、極限状態のサバイバルが描かれることになります。
この「復讐する海/捕鯨船エセックス号の悲劇」を脚本化するのはエドワード・ズウィック監督自身と、「ラスト・サムライ」の脚本を書き、「ブラッド・ダイヤモンド」ではプロデューサーをつとめた相棒のマーシャル・ハースコヴィッツが共同で執筆にあたります。製作はニュー・リージェンシーがつとめ、今年後半には撮影を行い、20世紀FOXの配給により公開されることが決定しているようです。
本作は、ユニバーサル映画が、「ウォンテッド」(2008年)のティムール・ベクマンベトフ監督を起用し進めている「白鯨」の映画化と、先月2月にココで紹介した台湾のアン・リー監督が映画化する「パイの物語」の両方のいいとこ獲りをしたような企画なので、3本合わせれば、微妙なトリロジーのようになってしまいそうですね。ただし、「パイの物語」も20世紀FOXでしたから、同社はよほど「生きてこそ」(1993年)(←ネタバレOKの人だけハイライトしてください)のような映画を作りたいみたいです。まぁ、1819年の捕鯨船という舞台設定では、まず女性のキャラクターはストーリーに表立っては出てこなさそうなことから、恋愛の要素はかなり足しにくいので、エドワード・ズウィック監督としては脱メロドラマをはかれそうですが、骨まで愛して(←ネタバレ気味なので…読みたい人だけハイライト)と言われれば、それまでです。
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