シルベスター・スタローンが自ら脚本・監督を手がけ、ジェイソン・ステイサム、ジェット・リー、ミッキー・ロークといった凄腕の連中と共に、南米の独裁者と決戦を交える最新作のアクション大作「エクスペンダブルス」に、かつてのライバルのひとりであるジャン=クロード・ヴァン・ダムにも参戦を要請したが、断られた…というニュースを、昨2008年11月にお届けしました。
その時の真相について、JCVDが語っているので、なぜ、スタローンを拒否したのか?!、その理由を聞いてみましょう!! →
ジャン=クロード・ヴァン・ダムが特攻チーム「エクスペンダブルス」参戦を拒否した理由を取材したイギリスの映画メディア、TotalFilm のライター、クリス・ヒックスによれば、ヴァン・ダムは…、
「スタローンは、次の彼の映画で俺に役をくれるって言ったんだ。だから、俺は聞き返したのさ。映画のテーマは何なのか?、そして、どういった物語なのか?!ってことを…。けれど、スタローンから返ってきた答えは、“大金をガッポリ稼げるぜ”だった…。俺はもう、そんな話、聞きたくないよ。俺が興味があるのは、あくまでも役のキャラクターなんだ。でも、奴はそうしたことについては何も語れなかった」
…ということで、すごく興味深い価値のある人物“ジャン=クロード・ヴァン・ダム”を本人さながらの見事なリアルさで演じきった「その男 ヴァン・ダム」(2008年)で、演技派への転向を果たした?ジャン=クロード・ヴァン・ダムは、映画出演の動機は大金を稼ぐといった下世話なことではなく、俳優本来の役を演じるという務めを果たすためだ…といったようなことを語っています。
さらにヴァン・ダムは…、
「それからスタローンはこう言っていた。“わかるだろ?、なぁ、「エクスペンダブルス」がアクションや、格闘のすんげぇー映画になるってことは”、で、俺はこう言ってやったのさ。“なぁ、スライ、ともかく、俺の役は何なんだよ?!、役がなきゃ、映画には出れないだろう?!”」
(スライはスタローンのニックネーム。普段は誰でも彼をそう呼んでいる。)
う~ん…、ジャン=クロード・ヴァン・ダムが言っていることは正論だとは思うのですが、何となく、この場合、彼はピントはずれな感じがしてしまいます…。
人物像や物語が重要視される文芸映画のような人間ドラマなら、キッチリと脚本を書き上げますが、アクション映画はあくまでも過激なスタントや爆発、格闘など…といった点が“見世物”なので、初期の脚本はゆるやかなものにしておき、実際にどういったアクション場面が盛り込めるのか?!といったスタントの限界をリサーチしたり、撮影場所でどこまで火薬を使えるのか?!といった現実的な事情を検討した結果で、物語や、役の性格なども変えられ、実際に撮影可能な内容としてシナリオが完成されるので(※)、昨秋の段階では、スタローンも役については多くを語れなかったのが実情では?!
また複数の俳優に同時にオファーをした結果をもって、役を割り振ろうとスタローンは思っていたのかもしれません。
ジャン=クロード・ヴァン・ダムも、きっと似たような映画作りをしてきたはずなので、スタローンの言っていることは本当は彼も理解できてると想像するのですが、だとしたら、ヴァン・ダムはちょっとイジワルな感じがしてしまいます。
スタローンは「エクスペンダブルス」を“タフガイたちの同窓会”として、「ロッキー4/炎の友情」(1985年)で闘ったドルフ・ラングレンも出演させるなど昔を懐かしみ、自らのアクション映画人生の集大成とすべく、かつてのライバル、ジャン=クロード・ヴァン・ダムも“同窓会”に呼んだと思うのですが、ヴァン・ダムはまだ“現役”でスタローンと張り合うつもりなのかもしれません。素直に大金ガッポリ稼いどけばいいのに…。スタローンに監督されるのはイヤだったのかな?!
※…ジャッキー・チェンの昔の香港映画には脚本がなかったと言われるのは、そうした事情ですね。小説や漫画なら紙の上でアクションを書いて、それで終わりですが、映画はそれらを実際に行い、撮影しないといけないので、いきおい現場で変更したり、作り上げてしまう付け焼刃的要素が多くなり、だったら突貫作業で作る昔の香港映画などは、あらすじだけあれば、厳密な脚本はいらないということになってしまいます。
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