昨日、発表された第81回アカデミー賞各賞のノミネートで、作品賞や監督賞といった主な賞に「バットマン/ダークナイト」(2008年)が選ばれなかったことで、アカデミー賞はインチキだッ!!、選考はデタラメだッ!!といった映画ファンからの反発の怒りの声が、この24時間いたる所で大きくあげられ、渦巻いています。そうした「ダークナイト」の落選に気落ちするファンや、アカデミー賞への激しいバッシングを懸念してか、「ダークナイト」の脚本家ジョナサン・ノーランが、バットマンをアカデミー賞に推薦する草の根的な活動を展開していたファン・サイト DARKCAMPAIGN.Com にメールを送り、「ダークナイト」ファンへのメッセージを発信しました…!! →
DARKCAMPAIGN.Com のブレアさんが、ジョナサン・ノーラン(↑)から受け取ったメールは、件名に“サンキュー”と記されていました。ジョナサンはメールの冒頭で、自分が適切かどうかはさておき、「ダークナイト」のオスカー・ノミネートを支援し続けてくれた DARKCAMPAIGN.Com の皆さんに、ともかく、感謝の言葉を伝えたいと記しています。そして、ジョナサンは、そうしたボランティアのファンの草の根運動の努力にも関わらず、「ダークナイト」が作品賞候補に選ばれず、兄のクリストファー・ノーラン監督も、監督賞候補にあげられなかったことで、「ダークナイト」ファンの皆さんは落胆しているだろうけれど、ヒース・レジャーや、その他のスタッフなど、一生懸命に「ダークナイト」を作ってきた他の仲間たちがノミネートされたのはワクワクできることだよと、末端のノミネートにも注目してあげてほしいといったことを呼びかけています。また、どのような部門であれ、コミック映画が認められるのは素晴らしいことだと、ファンを慰めるようなコメントもジョナサンは記しています。
アメリカの今日23日(金)から再び上映館数が拡大される「バットマン/ダークナイト」は(日本でも主要都市で本日24日からリバイバル)、全米で約5億3,103万ドルをすでに売り上げ、全世界のトータル興行収入は約9億9,703万ドルにまで昇っています。それらの数字は言うまでもなく、今回、アカデミー賞の作品賞候補に選ばれた全5作の現在までの売り上げをすべて足した数字を遥かに凌いでいます。そのことは端的に、アカデミー賞作品賞の各候補作5本のそれぞれに関心を持っている人を足した総数よりも、「ダークナイト」に関心を持っている人の方が桁違いに多いと考えることが出来ます。なので、もしアカデミー賞が視聴率回復で復権を果したいのであれば、「ダークナイト」のノミネートは必須だったのでは?!、…と言っても、もちろん映画賞としては、どれだけヒットしようと、観客の目を楽しませるだけで中身のないウィル・スミスの娯楽映画のような作品ならば賞レースに参加させることはできないでしょう。けれど、「ダークナイト」はその撮影や音響といった映画技術の高さや、俳優の表現力、また、緊張の糸を緩めない演出など、どこを取っても第1級作品として高く評価できる映画であり、内容的にもジョナサンがつむぎ上げた脚本は、ジョーカーという際立った悪の象徴と、トゥーフェイスという善と悪の両方の顔を持つキャラクターを上手くからめ、ヒーローものとしての勧善懲悪ではなく、人間の魂の本質は善か?、それとも悪か?といった哲学的なことまで問いかけていたと思います。今回の「ダークナイト」のアカデミー賞落選について、“それだけの映画だったんだよ…”と、熱狂的ファンの過大評価にオスカーは踊らされなかった…と指摘する声もあります。が、それでもなお「ダークナイト」が選ばれないアカデミー賞なんてバカデミー賞だッ!!、という反発の凄まじさや、もうアカデミー賞は見ない…といった諦めの声の大きさを鑑みれば、やはり「ダークナイト」は“それだけの映画”ではなかったのではないでしょうか。アカデミー賞は再び、映画ファンからの支持と、映画賞としての権威を取り戻す絶好の機会を逃してしまったように思います。
ジョナサンは先のメールの中で、アカデミー賞の残念なところとして、受賞式が一旦、始まってしまうと、会場に設置されたバーは店じまいしてしまう…ということについてふれ、“今年は式の後でヤケ酒が買えるように小銭を持っていくのを忘れないようにするよ…”と、アカデミー賞に対する諦めのようなジョークも記しています。ヤケ酒が必要なアカデミー賞など、誰も見たくはありませんが、メールの最後でジョナサンは、ファンの“「ダークナイト」にオスカーを!!”といった応援は実を結ばなかったけれど、自分たち映画を作った側と同じだけの情熱を、映画を観た人たちが「ダークナイト」に注いでくれたことこそが何よりも最高の出来事であって、本当に素晴らしい感動的な経験をさせてもらいました…と、あらためて、「ダークナイト」のファンへの感謝の言葉を伝えてくれています。
「ダークナイト」がアカデミー賞の大きな賞を獲れないのは残念ですが、ジョナサンの言うように、ジョーカーが冥土の土産のオスカー像を強奪できるよう、最後までバットマンを応援してあげましょう!!、アカデミー賞受賞式は来月2月22日です(日本では23日)。ちなみに脚本家ジョナサン・ノーランの最新作は「ターミネーター4/サルべーション」で、主演はもちろんバットマン=クリスチャン・ベールですね!!、「T4」がポスト「ダークナイト」のような映画であればよいのですが…ッ!!、日本での「T4」公開は6月13日(土)で、6日(土)、7日(土)には先行上映があります!!
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