12月26日~12月28日の全米映画ボックスオフィスBEST10!!

TSUTAYA online
*数字は、週末の興行成績-(公開館数)-トータル成績 の順です。
第1位マーリー-世界一おバカな犬が教えてくれたこと    第2位ベッドタイム・ストーリーズ    第3位ベンジャミン・バトン-数奇な人生    第4位ワルキューレ     第5位
イエスマン
第1位マーリー/世界一おバカな犬が教えてくれたこと」(2009年4月公開)
   $37,000,000-(3,480館)-$51,675,000
第2位ベッドタイム・ストーリー」(2009年3月公開)
   $28,069,000-(3,681館)-$38,598,000
第3位ベンジャミン・バトン/数奇な人生」(2009年2月7日公開)
   $27,000,000-(2,988館)-$39,008,000
第4位ワルキューレ」(2009年3月20日公開)
   $21,531,000-(2,711館)-$30,024,000
第5位イエスマン “YES”は人生のパスワード」(2009年3月公開)
   $16,450,000-(3,434館)-$49,591,000
第6位セブン・パウンズ    第7位ねずみの騎士デスペローの物語    第8位地球が静止する日    第9位ザ・スピリット     第10位
ダウト-DOUBT
第6位7つの贈り物」(2009年2月21日公開)
   $13,400,000-(2,758館)-$39,026,000
第7位ねずみの騎士デスペローの物語
   $9,368,000-(3,107館)-$27,945,000
第8位地球が静止する日」(公開中)
   $7,900,000-(2,402館)-$63,615,000
第9位ザ・スピリット
   $6,510,000-(2,509館)-$10,352,000
第10位ダウトDOUBT / 疑いをめぐる寓話
   $5,675,000-(1,267館)-$8,825,000
各映画の解説はこちらです。 → 


今年最後の全米映画ボックスオフィスBEST10は、アメリカの映画興行にとって1年を締め括る最後の稼ぎ時となるクリスマスの激戦…となるはずが、景気の悪化を受け、少しアテのはずれた微妙な展開となってしまいました。
今年のカレンダーではクリスマスの25日が木曜日なことから、おしなべて新作映画はその日に封切られ(そのため新作でもトータルの数字と週末興行の数字が一致せず、トータルが上回っています。今週のランキングは主にトータルを見てください)、その後の週末3日(金・土・日)を含めた計4日間のホリデイ興行で稼ぐことを映画界は目論んでいましたが、客足は封切りの翌日26日の金曜日から即座にダウン傾向を示してしまいました。本来であれば、25日のクリスマスは家の行事で楽しみ、週末は映画でも…といった行動パターンが予測され、映画興行は木曜日(25日)から金曜日(26日)にかけては数字的にアップするはずでした。
過去にも同じ曜日の配列となったクリスマス・ホリデイでは、そうした興行データの結果が出ています。それが今年は初日の25日だけの盛り上がりで、いきなり翌日には落ち込んでしまった…ッ!!というのは、要するに、26日(金)には仕事に戻ってしまった人が今年は多かった…ッ!!という事情が読み取れます。とても4連休なんて休んでいられないッ!!という訳ですね。あるいは仕事に戻らなくとも、ホリデイ料金をふんだくられるクリスマス期間の外出を控えて、節約をした人が多かった…ッ!!といった庶民の不況対策が、映画の観客動員にも反映されてしまったようです。そんな少し寒々とした懐具合がモロに浮き彫りとなった全米クリスマス興行を制したのは、せめて映画は心の温まるものを…という訳で…
マーリー-世界一おバカな犬が教えてくれたことハートウォーミングな犬の映画「マーリー/世界一おバカな犬が教えてくれたこと」が、バカでも犬の方が走るのは速いッ!!という訳で、4日間の間ずっとトップを独走しました!!、本作は今年、失敗作の連続で最悪の1年を過ごした20世紀FOXの作品ですが、同社は、この年末にかけ、期待していた恋愛大作「オーストラリア」がネットの違法ダウンロードで無料にも関わらず不人気…(某サイトに上がっていますが、もちろんダウンロードすれば犯罪)となるほど、映画ファンからは無視されているのに加え、SF大作「地球が静止する日」も客足が静止するなど、年末勝負に出て、興行を独占するアテが大きくハズレてしまっています。そうした創意工夫を凝らした力作が見事にコケたにも関わらず、単純な犬映画が3本めの正直?!として大ヒットというのは、少し皮肉な感じですが、クリスマスに家族で楽しめるハートウォーミング作品を放った狙いはピタリと当ったッ!!ということですね。
そんな「マーリー/世界一おバカな犬が教えてくれたこと」は、フィラデルフィア・インクワイヤラー紙のコラムニスト、ジョン・グローガンが2005年に出版し、全米大ベストセラーとなったほか、日本でも邦訳本が人気の同名エッセイを映画化した作品です。内容としては、ジョン・グローガンと妻のジェニファーがペットとして、ちょっとマヌケなラブラドールレトリバーのマーリーを子犬の頃から飼い始め、やがて、夫婦の間に子どもが産まれ、家族が成長していく様子を、その愛犬マーリーとの絆とふれあいを軸に笑いと涙で描いた…という感動作です。
主演は、「シャンハイ・ナイト」(2003年)や「80デイズ」(2004年)などジャッキー・チェンとのコンビで有名なオーウェン・ウィルソンと、「フレンズ」のジェニファー・アニストン。ジェニファー・アニストンとしては、アンジェリーナ・ジョリーに乗り換えた元のダンナのブラッド・ピットの「ベンジャミン・バトン/数奇な人生」に興行で競り勝ち、ザマーミロッ!!と鼻高々に思っているかもしれません?!
ちなみに「ベンジャミン・バトン/数奇な人生」は“クリスマス(25日)に封切られた映画”として興行の新記録(約1,180万ドル)となるヒットを達成していますが、もちろん、トップの「マーリー/世界一おバカな犬が教えてくれたこと」は、さらに上の新記録(1,460万ドル)を樹立していることになります。なので冒頭に記したような事情を背景に、今年のクリスマス興行は主に25日(木)の初日に観客が集中した結果、新記録が出来た…ということですね。
この「マーリー/世界一おバカな犬が教えてくれたこと」の製作費は非公開ですが、主演のジェニファー・アニストンのギャラが高いため、この手のファミリー映画としては少しお金がかかっているかもしれませんが、オープニング成績のトータルでこれだけの立派な数字を示せば、黒字となるのは間違いなさそうです。
監督は「プラダを着た悪魔」(2006年)のデビッド・フランケルで、脚本は「マイノリティ・リポート」(2002年)のスコット・フランクです。そうした裏方の顔ぶれを見ると、実は本作がそう大衆に媚びまくった単純な犬映画でもなく、ちゃんとしたドラマの作り手たちによる、キチンと感動させてくれそうな作品であることが察せられます。
下 ↓ の動画は、夫婦と子犬のマーリーの出会いの場面です。本来の予告編はコチラにあるので、ご覧下さい。必ず笑えます!!
マーリー/世界一おバカな犬が教えてくれたことから
  夫婦とマーリーの出逢いの場面
http://www.movieweb.com/v/V08K56wEGKMNVX
ベッドタイム・ストーリーズ-アダム・サンドラー第2位は、アダム・サンドラーが就寝前の子どもたちに語って聞かせる寝物語が、翌日に現実になる…ッ!?というファンタジック・コメディ「ベッドタイム・ストーリー」が、やはりディズニー映画という家族向けの強味を発揮し、初日からの2日間(25日、26日)こそ、「ベンジャミン・バトン/数奇な人生」に抑えられ第3位だったものの、土日に挽回し、順位を逆転しました。
日本ではブラッド・ピットよりも知名度が劣るコメディアンのアダム・サンドラーですが、アメリカでは主演作が軒並み、大台の1億ドルを超える大ヒットを連発しているので、ブラピと遜色ないどころか、興行的なマネーメイキングの実力では勝っていると言っても過言ではないスターです。なので、このランキングの順位も、そうした順当な結果だと言えそうですが、「ベンジャミン・バトン/数奇な人生」は上映時間が2時間48分あるのに対して、この「ベッドタイム・ストーリー」は1時間35分ですから、上映回数の回転の良さに加えて、上映館数の多さで優位に立てた…というのが実態です。なので単館のアベレージとしては、「ベンジャミン・バトン/数奇な人生」が1館で約9,036ドルを稼いでいるのに対して、「ベッドタイム・ストーリー」は1館で約7,625ドルにとどまっており、BEST10中では第4位の「ワルキューレ」=1館7,942ドルをも下回っています。とは言え、トータルで約3,859万ドルというのは、アダム・サンドラー作品としては平均的な数字なので、期待に沿った成績を収めており、ノルマとしては特に問題がある訳でもなく、ただランキングのからくりとしては第2位から第4位の新作3作品は諸条件が異なった結果の順序であり、実はほぼ横一線の同じ程度のヒットだということです。
さて、本作は冒頭にも記したように、アダム・サンドラー演じる主人公のスキーターが、出張の仕事に出かける姉妹のコートニー・コックスから甥と姪を預かり、その子たちを寝かしつけるために語ったお話の展開が、翌日、スキーターの身にふりかかるという内容。スキーターはそれを利用して、自分の都合のいいようにお話を物語ろうとしますが、そんな自分の願望ではなく、子どもたちが口をはさんだテキトーなバカバカしいことばかりが現実化してしまう…ッ!!というドタバタで笑わせてくれることになります。スキーターの語るお話が、SFあり、西部劇あり…と、バラエティに富んでいるので、映画としては、ナンでもカンでも色んなジャンルを詰め込んだ散漫な印象となってしまっていますが、それは子ども向けに飽きさせない工夫をした為であって、そうした辺り、本作はハナから大人の観客は少し置いてきぼりに作られているのかもしれません。
監督は、大ヒット・ミュージカル映画「ヘアスプレー」(2007年)のアダム・シャンクマンです。共演は、「ウェイトレス ~おいしい人生のつくりかた」(2007年)のケリー・ラッセルと、傑作「明日、君がいない」(2006年)のテリーサ・パーマーです。
ケリー・ラッセルは、J・J・エイブラムス製作のテレビドラマ「フェリシティの青春」でブレイクし、その後、J・J・エイブラムスが監督した「ミッション・インポッシブル3」(2006年)でも活躍したセンスのいいカッコいい女優さんですが、最近、雑誌のグラビアでちょっとエッチな写真を発表したことから、“ケリー・ラッセルほどの女優が、なぜ、マイリー・サイラスのようなことを…ッ!!”と、ゴシップ誌などでビッチな評価で叩かれ、自分の価値をマイリー・サイラス並に下げてしまいました。共にディズニー作品に出る女優がビッチでは困るのですが…。
ベンジャミン・バトン-ブラッド・ピット第3位は、ブラッド・ピットとデヴィッド・フィンチャー監督が、「セブン」(1995年)、「ファイト・クラブ」(1999年)に続き、3度めのコンビを組んだ「ベンジャミン・バトン/数奇な人生」が初登場。先ほども記したように2時間48分もある長尺の本作は、映画を短く、見やすくして、上映回数を増やしたい製作のパラマウント/ワーナー・ブラザースの両社と、デヴィッド・フィンチャー監督との間で確執があり、結果的にはデヴィッド・フィンチャー監督が我を通し、ハサミを入れなかった訳ですが、ご覧のように長尺をものともしないヒットを飛ばし、デヴィッド・フィンチャー監督はあらためて、ホラ、見ろッ!!、俺の完璧な映画作りに間違いはないんだッ!!と胸を張って言い返せそうですね。…などとカンタンに言えればいいのですが、実はそうも言えない事情がこの「ベンジャミン・バトン/数奇な人生」にはあって、それは本作の製作費が約1億5,000万ドルというヒーロー映画のアクション大作が作れる莫大な金額が費やされてしまっていることです…。
そのため、この「ベンジャミン・バトン/数奇な人生」がドラマ映画として、それなりにヒットをしても、まずこの初公開ですぐに黒字になることは見込めず、名画として後々の後世までかけて、収支の帳尻を合わせていくしかなさそうな感じです。
つまりは、くり返し鑑賞されるような歴史的価値の高い評価を得ることが絶対条件…という、単に大ヒットを狙うよりも難しい、本当に才能が必要なことにデヴィッド・フィンチャー監督とブラッド・ピットは挑み、それに成功した訳であって、そうした大局的な視点に立ち、安易にハサミを入れさせなかったデヴィッド・フィンチャー監督は、勇気ある正しい判断をした…と、めぐり巡って、ここまで考えて初めて、本当に胸を張って言えそうです。
しかしながら、そんな映画史上の名画として、早くも評価されている本作がフタを開けてみたところ、最も高く評価されているのは、監督のデヴィッド・フィンチャーではなく、老人として産まれ、年齢を経るごとに若返っていき、赤ん坊として死ぬ主人公ベンジャミン・バトンの不思議な生涯を描いたF・スコット・フィッツジェラルドの奇妙な短編小説の原作を、見事に映画の脚本に書き起こしたエリック・ロスの仕事です。エリック・ロスは、ロバート・デ・ニーロが監督した「グッド・シェパード」(2006年)や、スピルバーグ監督の「ミュンヘン」(2005年)などでも知られる名脚本家ですが、代表作は何と言っても、アカデミー賞最優秀脚色賞を受賞したトム・ハンクスの風変わりな主人公の人生を描いた「フォレスト・ガンプ」(1994年)です。
この「ベンジャミン・バトン/数奇な人生」は、主人公や映画のタイプは異なるものの、不思議なキャラクターの生涯を、アメリカの近代史を背景に描いたことや、幼なじみの恋人との絆など、いくつかの相似点により、思いがけず“第2の「フォレスト・ガンプ」”として評されています。デヴィッド・フィンチャー監督のクールでスタイリッシュな映像に反し、ブラッド・ピットのベンジャミン・バトンが意外にユーモアの愛嬌があるところなども、トム・ハンクスのフォレスト・ガンプと比較され、この映画のヒットの要因として語られています。
脚本家のエリック・ロスは、本作の宣伝で受けたインタビューの中で、予定していた「フォレスト・ガンプ2」の脚本を書き上げながら、映画化に踏み切らなかった事情について語っていますが、その「フォレスト・ガンプ2」が“作れない理由”というのは、ひと言で言えば、2001年9月11日の同時多発テロでアメリカは変わってしまい、もはや、フォレスト・ガンプのような、おとぎ話的な人物がいられる国ではない…ということです。よって、ベンジャミン・バトンが赤ん坊として死んでいく…というのは、そうしたアメリカのイノセンスの終わり、無垢の終焉を意味し、ひいてはフォレスト・ガンプの死を暗示しているのでは?!といった解釈を持つ人もいるようです。「ベンジャミン・バトン/数奇な人生」をご覧になる前に「フォレスト・ガンプ」を観ておくと、そうした比較が楽しめて、一興なのかもしれません。
また出演者についても、注目の主演女優のケイト・ブランシェットよりは、ブラッド・ピットが前作の「バーン・アフター・リーディング」(2009年4月公開予定)でも共演したティルダ・スウィントンの存在感と演技の方が高く評価されているようです。ま、そうした脇まで見どころがあるというのは、映画がよく出来ている証拠ですね。
ちなみに、本作に関して、“宣伝が足りていない!!、俺がオスカーの監督賞を獲れるように、お前ら、もっとマジメに努力しろッ!!”と、デヴィッド・フィンチャー監督がパラマウント映画の社員に詰め寄って、暴行を働いた…というニュースがありますが、それは賞レースにおいて、デヴィッド・フィンチャー監督と「ベンジャミン・バトン/数奇な人生」の足を引っ張ろうとする者が流した怪情報の可能性があるので、あまり信用しない方がいいかな…?と思っています。
ベンジャミン・バトン/数奇な人生」 TVスポット
http://www.movieweb.com/v/V08L1cefhilpBI
ワルキューレ-トム・クルーズ今年2008年、恐らく最も物議をかもして話題にされた問題作と言えるトム・クルーズの戦争スリラー「ワルキューレ」が、初登場で第4位と、そこそこのスタートを切っています。この「ワルキューレ」が問題作…というのは、“神”トム・クルーズの人気失脚もあり、映画の出来が最悪との風評が立てられ、失敗作の烙印を押されてしまい、予定していた今夏のサマームービーとしての公開を見合わすハメとなり、その後、公開日を転々とするなど、オクラ入りのようになって、本当に映画が公開されるのか?!、その運命がウワサのネタになっていたからです。
ただし、この「ワルキューレ」問題には、裏事情として、トム・クルーズと共に映画会社のユナイテッド・アーティスツを経営していた、長年のビジネス・パートナー、ポーラ・ワグナーと、親会社のMGMとの間で確執があり、MGMが見せしめのために、「ワルキューレ」をワザとコケさせるように仕向けた…という説もあります。
その状況証拠として、トム・クルーズがポーラ・ワグナーを追放し、会社から追い出して以来、MGMは手のひらを返して、この「ワルキューレ」のプロモーションに取り組んでいます。こうした辺りは、ポーラ・ワグナーがもし、いずれ自伝を出すとするなら、真相をどのように記すのか?!、興味深いところです。
とまぁ、そんな厄介なことに巻き込まれていた「ワルキューレ」ですが、いざ完成した映画の評判は上々で、トム・クルーズはじめ、その他の共演者らの演技も絶賛され、見応えのある重量感を持った作品として好評を博しています。
しかし、本作は先のような風評を払拭するため?の宣伝経費が異常にかかってしまい、映画自体の製作費に匹敵するような約7,000万ドルが費やされています。そのため、そうした間接経費も含めた本作の製作費は推定で、約1億5,000万ドル強から、もしかすると2億ドル近い金額までかかっている可能性が考えられ、それを考慮すると、第4位発進のオープニング成績が約3,000万ドルでは、「ワルキューレ」が早々に黒字になることを楽観視はできません…。
が、トム・クルーズとしては、似たような規模の製作費(約1億4,000万ドル)を費やした2003年の「ラスト・サムライ」のオープニング成績は2,427万ドルだったので、外国を舞台にした異色な作品という共通点だけから言えば、「ワルキューレ」はそれを凌いでいる分だけ、まぁまぁの成績…といった感じでしょうか?!
最後に、日本人にはあまりピンとこない話題ですが、この「ワルキューレ」について、欧米のレビューで多く指摘されているのは、第二次大戦中のドイツが舞台で、主要な登場人物たちがみなドイツ人のナチスという設定にも関わらず、ドイツ訛りのないノーマルな英語を話すのは極めて不自然な演出…ということですが、監督のブライアン・シンガーはその点について、スリラー映画としてのスピード感を保つために、現代的な英語で話させた…と反論しています。
ワルキューレ」 プロモーション動画
http://www.movieweb.com/v/V08I5hpyDILSUX
第5位「イエスマン」、第6位「七つの贈り物」、第7位「ねずみの騎士デスペローの物語」は、先週のトップスリー。それぞれ新作4本に上乗りされ、先週の順番を保ったまま、各自4ランクダウンです。そのように順位は一気に4つも落としながら、先々週末は悪天候で客足が極めて低調だったため、売り上げのダウン率としては低くなり、「イエスマン」、「七つの贈り物」は共に、約10%のマイナス、「ねずみの騎士デスペローの物語」は少なめで、約7%のダウンです。それぞれ特筆すべき動きもありませんが、ウィル・スミスの「七つの贈り物」は、先週、記したような異常なストーリーが、その後も賛否両論を呼んでおり、ウィル・スミスの主人公は明らかにサイコの異常者であって、これほど気持ちの悪いストーカー映画はかつてなかった…と、本作をホラー映画としてとらえた、極端に否定した意見のレビューなどが書かれています。とりあえず、M・ナイト・シャマラン監督の「ハプニング」、スピルバーグ監督の「インディ・ジョーンズ4」と並び、「七つの贈り物」は今年2008年のワースト3に入る最悪のプロットとして位置づけられそうです。ウィル・スミスはこの映画に主演して、ヒーローから転落の大失敗となっています。
第8位は、キアヌ・リーブス主演のズッコケたSFリメイク大作「地球が静止する日」が、公開3週めで、映画館主たちの怒りがモロに伝わってくるような勢いの1,158館に上映を打ち切られ、客足どころか、映写機まで静止する日?と悪い冗談で言われそうな状況に入っています。そうしたことから本作は、第5位から第7位の3作品と比べて、倍以上の約2割の売り上げを先週の悪天候の低調な数字から、さらに落としてしまっており、もはや、手のほどこしようはありません…。
本作の全世界での興行収入は現在のところ、約1億3,640万ドルなので、世界中の売り上げをかき集めても、製作費の8,000万ドルは取り返せない赤字となるのは確定的のようです。
ザ・スピリット第9位に初登場は、初めからスラップスティックなヒーロー・コメディ?と断りを入れて宣言しておけば、ここまでヒドイことになるのは避けれたかもしれない、コミック作家フランク・ミラーの映画監督作第2弾「ザ・スピリット」です。「300」(2007年)の原作者としても知られるフランク・ミラーが、2005年の自身の代表作「シン・シティ」の映画化では、ロバート・ロドリゲス監督の助けを得て、共同監督だったのが、本作で初めて単独で映画監督に挑戦した訳ですが、観客やファンは当然、「シン・シティ」や「300」のイメージを持って、この「ザ・スピリット」がダークでハードコアなヒーロー・アクションの作品だろうと期待していました。それがリリースされた予告編や動画が、お色気コメディ?みたいなドタバタなものだったことから、ドンびきしたファンの怒りを買い、“「ザ・スピリット」は無視しようぜッ!!”みたいな空気が出来上がってしまいました…。こうしたジャンル映画は、ヒットの起爆剤となるマニアの支持を失ったら、もうおしまい…ということで、オープニング成績が1,000万ドルそこそこでは、宣伝費をかけずにDVDスルーにしといてもよかったんじゃない?!とか、皮肉を言われてしまいそうです。
ヒーロー映画ブームの波に乗り、大ヒット確実を見込んで、本来の2009年1月封切りからクリスマス興行の激戦の渦中に本作の公開日をくり上げた製作・配給のライオンズ・ゲートですが、強力な他の作品に圧倒され、ご覧のような惨敗…。
ライバルの少ない1月公開のままにしとけば…と悔やんでも、後の祭りです。
この「ザ・スピリット」は、アメコミの大家、故ウィル・アイズナーの人気同名コミックを映画化したもので、毒殺された刑事のデニー・コルトが墓場から蘇り、マスクのダークヒーロー、ザ・スピリットとして活躍するという内容。
主演のザ・スピリットを演じてるのは、「グッド・シェパード」(2006年)や、「ママの遺したラヴソング」(2004年)などに出ていたガブリエル・マクトで、ザ・スピリットの宿敵オクトパスに扮し、いかりや長介が便器で加藤茶をブン殴るような“便器ファイト”で失笑させてくれるのは、サミュエル・L・ジャクソンです。その他の共演者として、この映画で唯一の見どころと言われているキレイどころを取り揃えた女優たちは、スカーレット・ヨハンソン、エヴァ・メンデス、サラ・ポールソン、ジェイミー・キングです。
いずれはカルト映画として再評価されそうな感触もある「ザ・スピリット」ですが、とりあえず、期待されていた続篇のシリーズ化は当然、ある訳がないですね。
フランク・ミラーは、コミックからテレビドラマ化され成功したスペースオペラのSFヒーローもの「バック・ロジャース」の映画化で監督を努めるプランがありますが、この「ザ・スピリット」の失敗で、映画監督としての力量が疑問視されているだけに、また単独で映画を作るのは微妙なところです。予定通りに2009年4月から「シン・シティ2」を、ロバート・ロドリゲス監督と共同で製作をスタートさせられたなら、しっかりと映画監督術をロバート・ロドリゲス監督から学んでおいた方がよさそうです。ちなみに「シン・シティ」のオープニング成績は、約2,912万ドルで、アメリカ国内で最終的に7,410万ドルの興行収入でした。
「ザ・スピリット」が大失敗するキッカケとなった動画はココ、予告編はココ、その悪評を振り払うために修正した予告編はコチラです。とりあえず、下 ↓ にTVスポットのCMもあげておくので、ご覧ください。
ザ・スピリット」 TVスポット
http://www.movieweb.com/v/V08LZJHQqnbdts
ダウト-メリル・ストリープ第8位の「地球が静止する日」が3週めで失った映画館を根こそぎ奪ったような、一挙に1,228館の拡大公開を得て、やはり3週めの心理サスペンス・ドラマ「ダウトDOUBT/疑いをめぐる寓話」がついに第10位にランキング。本作は、監督のジョン・パトリック・シャンリーが、トニー賞とピュリッツァー賞をダブル受賞した自らの名作戯曲を映画化したもので、60年代のミッション・スクールを舞台に、教師のフィリップ・シーモア・ホフマン神父はホモで男子生徒の少年に性的な悪戯をしていると、メリル・ストリープのシスターは疑って、決めつけており、そんな疑惑をめぐって対立する2人の間で、「魔法にかけられて」(2007年)のプリンセス・エイミー・アダムス演じるピュアなシスターが板ばさみになるという物語です。「カポーティ」VS「プラダを着た悪魔」なので、作家と編集者の対決のようですね!!
ダウトDOUBT/疑いをめぐる寓話」 TVスポット
http://www.movieweb.com/v/V08K023uwFMOQU
最後はいつものように圏外の新作をザッと紹介しておきます。
レオナルド・ディカプリオ-ケイト・ウィンスレット-家族の終わりにまずは、レオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットの「タイタニック」(1997年)カップルが、1950年代を舞台に、変わりゆくアメリカの価値観の中で、夫婦の愛が危機にさらされていく様を演じた、リチャード・イエーツのアメリカ近代文学の名作「家族の終わりに」を映画化した同名作品が、第26位に初登場しています。「ロード・トゥ・パーディション」(2002年)のサム・メンデス監督がメガホンをとった本作は、3館のみの限定公開でスタートし、1館あたりで約6万4,000ドルという、今年2008年で最高額の単館での売り上げを記録しています。もちろん、今週のアベレージ・ランキングでダントツに第1位なのは言うまでもなく、通常ランキング首位の「マーリー/世界一おバカな犬が教えてくれたこと」が1館平均で約1万632ドルの売り上げですから、「家族の終わりに」は、その約6倍近くを稼ぎ、映画館は満員御礼で、実態的にはクリスマス興行で№1ヒット作だということになります。しかし、映画の内容的には夫婦ゲンカの連続なので、“誰にでも優しくしましょう…”というクリスマスにふさわしいとは思えません。でも、これだけヒットするのは、やはりレオ様の人気ということでしょうか?!、ココにたった70秒で感動させる素晴らしいテレビスポットのCMがあるので、ぜひ、ご覧下さい。
ラストチャンス・ハービー一方、クリスマスにふさわしい優しさに満ちた、名優ダスティン・ホフマンとエマ・トンプソンの熟年カップルのラブストーリー「ラストチャンス・ハービー」が第30位に着けています。本作は6館の公開で、1館あたりの売り上げが約1万6,000ドルで、オープニング成績は13万2,000ドルです。予告編と紹介記事はコチラ。監督は無名のイギリス人、ジョエル・ホプキンスですが、エマ・トンプソンが脚本を気に入り、「主人公は僕だった」(2006年)で共演したダスティン・ホフマンを誘って、映画を現実のものにしてくれました。
ワルツ・ウィズ・バシール第33位に、5月にココで紹介した、イスラエルのアリ・フォルマン監督が手がけたドキュメンタリー風の異色アニメ「ワルツ・ウィズ・バシール」(Waltz with Bashir)が初登場し、5館で封切られた本作は、1館で約1万240ドルを稼いでいます。
このアニメ映画は、80年代のイスラエルによるレバノン侵攻をテーマにしたもので、題名のワルツを踊ってくれるバシールとは、1983年に暗殺されたレバノンの民兵組織の指導者バシール・ジェマイエルのことです。実写では描けない戦争の悪夢的な側面を、アニメならではの表現により、見事に描いたとして、ゴールデングローブ賞の最優秀外国語映画賞の候補にあげられています。
サンプルとして、動画を2本あげておくので、どういった作品なのか?!、ちょっと覗き観てください。
ワルツ・ウィズ・バシール」 白日夢のような空港の場面
http://www.movieweb.com/v/V08LDbtvFZcxMN
ワルツ・ウィズ・バシール」 狂気の垣間見える戦場の場面
http://www.movieweb.com/v/V08L123hqrwyJS
さて、年内はあと大晦日に、ダニエル・クレイグの戦争映画「デファイアンス」が限定公開されるだけで、今週末は新作公開の予定がありません。なので、来週は作品や順位の入れ替わりはあまりなさそうです。といった訳なので、来週もお楽しみにッ!!ではなく、来年2009年も全米映画ボックスオフィスBEST10の記事をお楽しみにッ!!を、シメのあいさつとしておきます。
【注意】本文の二重使用・無断転載厳禁。引用は当ブログ名を明記し、リンクをお願いします。

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