今年2008年のハリウッド映画界最大の事件と言っても過言ではない「ウォッチメン」裁判に、初期の裁定が下り、20世紀FOXの主張が全面的に認められ、勝訴となる見込みです!!、映画化の権利を認められなかったワーナー・ブラザースは100億円以上の巨額製作費を費やし、一般公開できない“趣味の自主映画”を作ってしまいましたッ!! →
「ウォッチメン」裁判とは、ワーナー・ブラザースを筆頭に、同社と業務提携しているレジェンダリー・ピクチャーズと、パラマウント映画の3社が共同製作したコミック・ヒーロー映画の超大作「ウォッチメン」(監督ザック・スナイダー)について、20世紀FOXが自社の持つ映画化の権利を侵害されたとして、今年2008年2月に起こした訴訟のことです。
同訴訟は、すでに8月にココで伝えたように、カリフォルニア地方裁判所の裁判官ゲアリー・アレン・フィースが、20世紀FOXからの訴えを退けるよう求めたワーナー・ブラザースの申し出を却下し、裁判として審理することを認めた時点で、20世紀FOXの主張は吟味に値する正当性のある事実と成りえたことから、ワーナー・ブラザースの敗色は濃厚となっていました。
この件について、ニューヨーク・タイムズが現地24日付けで伝えた最新の記事によれば、同日24日に、フィース判事は5ページに渡る初期の裁定書を発行したとのことです。
その裁定書の中で、フィース判事は「20世紀FOX社は映画「ウォッチメン」に関して、利益を享受し得るに値する権利を保有するものとこれを見なす。よって、少なくとも同映画を配給する権利が20世紀FOXにあることを認める」と判断しています。
1986年以降の数年間にかけ、原作コミック「ウォッチメン」全巻の映画化権を買収した20世紀FOXは、実際には同社で映画化を実現することなく、その権利を転売しましたが、オプション契約で自社の権利を確保し続け、そのことの記録が合衆国著作権局で公的に保管・証明されています。
ワーナー・ブラザースは、20世紀FOXから権利の転売を受けたプロデューサー、ローレンス・ゴードンの持つ映画化権を根拠に、映画「ウォッチメン」を完成させた訳ですが、つまりは、「ウォッチメン」の映画化プロジェクトには必ず、今だ現にその権利の一部を保有し続けている20世紀FOXの参加を得なければならないのに、それを無視して、仲間はずれにしたまま映画を作り、このような事態を招いてしまったということですね。
フィース判事は、実際に法廷での審理を開始する来月2009年1月20日までの年末年始を跨ぐ間に、この裁定に基づき、両社は事前協議を行いなさいと薦めています。ハッキリ言って、裁判所が映画「ウォッチメン」を配給・公開する権利は20世紀FOXにあると認めてしまった以上、ワーナー・ブラザースにできることは、同社の持つ配給権の一部を20世紀FOXに譲り渡し、共同配給社として、プロジェクトのメンバーに迎えるしかありません。それに辺り、映画の製作費の一部を20世紀FOXが後追い出資し、正式なパートナー・シップの共同製作者となっていくのか?、あるいは、興行収入から権利に応じた歩合をとるだけなのか?、それともワーナー・ブラザースが20世紀FOXの現に持つ「ウォッチメン」の権利を買い取るのか?、様々な問題解決のパターンが考えられますが、今後の協議の進展に注目が集まっています。
もちろん、ワーナー・ブラザース側は、今回の裁定を不服とし、法廷で争っていくことも選択肢としては選べますが、そうした場合、予定している2009年3月の全米及び海外での公開はすべて一旦、中止しなければならなくなるに加え、裁判が長引くと、「ウォッチメン」公開のメドは立たなくなります…。要するに争うことは自殺行為です。
20世紀FOXは今年2008年は失敗作の連続で辛酸を舐め続けましたが、ココで伝えたように、ディズニーがギブアップした「ナルニア国物語」シリーズが手に入りそうなことに加え、どうやら、「ウォッチメン」もラインナップに追加できそうなことで、漁夫の利的ではありますが、2009年に向け、幸先のいい兆しが見えてきました。一方、とんだクリスマス・プレゼントをもらったワーナー・ブラザースは、せっかくの「バットマン/ダークナイト」(2008年)の歴史的大ヒットの儲けを、こんなことで帳消しにされそうで大ピンチですね!!、「ウォッチメン」を映画館で“ウォッチ”できるのか?!、結論が出れば、またお伝えします。
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