http://www.movieweb.com/v/V08J6quvzFNPQV
日本では、みのもんたが司会していた人気番組「クイズ$ミリオネア」を題材に、ダニー・ボイル監督(「28日後…」2002年)がインドを舞台に描いた最新作「スラムドッグ・ミリオネア」(Slumdog Millionaire)の動画です。一見して、子どもたちが元気よく駆け回って遊んでいるのかと思いきや、後ろからおまわりさんが必死で追い駆けてきているので、子どもたちは何か盗むなどの悪さをしたのでしょう。そんな少し複雑な気にもさせられる場面ですが、ダニー・ボイル監督は、CMのような美しい映像で躍動感を持って描き、この1分間の動画だけで独立した映像詩の短編のように観えます。途中で挟み込まれる、川で何か拾っている男性などスラムの風景のインサート・カットも絶妙な長さで映し出され、全体に強弱をつける、ちょうどよい間をとっています。この映画を作っている人たちの映像に対する感性の確かさが窺えるシーンですが、ここでこういう少し美しい描き方を採用した背景には、子どもたちはあくまでも無垢であり、悪いのは子どもたちが生きていくために盗みでも何でもしなければならないように仕向けている貧困では…?といったメッセージが込められている感じがあります。この映画は、スラム出身の少年ジャマール(デヴ・パテール)が、インド版「クイズ$ミリオネア」で全問正解し、インドの大統領の月給の4倍にあたるスゴイ大金を手にしますが、番組の関係者や警察は、スラムのガキがそんなアタマがいい訳がないッ!!と決めつけ、ジャマールを逮捕し、彼の不正を暴こうと尋問を始めてしまいます…。ダニー・ボイル監督が、そういった偏見を超えて真実を見なさいよというテーマを、映画の課題のひとつとして描きたいことは、その物語から容易に察せられますが、上 ↑ の動画ではそれを、映画という映像表現が持つ力を発揮させ、感性の心に訴えかけるように描き出すのに成功していると思います。本作はテリュライド映画祭や、トロント国際映画祭などで、批評家と観客の両方から絶賛されていますが、そういったベタボメのレビューを引き合いに出さずとも、この動画のワンシーンだけで、この映画が観るに値する作品であることは、充分に説得されています。が、しかし、ファイナル・アンサー!!は、もちろん、皆さん、ご自身で下してくださいね。本作はアメリカでは2009年公開の予定が早められ、来月11月12日の公開となっています。映画のジャンルとしては“コメディ”なんて定義づけられているので、スラムと貧困、偏見といったテーマに反し、そう重い映画ではないようです。なお、表題では本作を「ぼくと1ルピーの神様」という異なる題名で記したのは、日本でも人気のその同名小説(ヴィカス・スワラップ著)が原作だから。さて、映画の邦題は人気小説の題名が採用されるのか?、それとも原題直訳が使われるのか?、どちらがよいと思われますか?!、本作はどちらも良い題名なので微妙ですね。ココにも写真と、ココにも動画があります。

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