映画の上映時間が全般的に長くなる傾向の中で、ジェームズ・ボンド最新作「007/慰めの報酬」の上映時間が、約1時間46分とシリーズ史上、最もコンパクトにまとめられた最短の作品になりそうだとの情報が、ネット上に広まっています。これまでのボンド映画は概ね、2時間10分前後ですから、「慰めの報酬」は通常のボンド映画より、約25分ほども短いことになります。このように「慰めの報酬」の上映時間が短い訳としては、やはりシリーズ史上、初めて続篇の体裁をとり、前作「カジノ・ロワイヤル」(2006年/2時間24分)のエンディングを引き継いだことで、ストーリーの前置きを端折ることができたのに加え、ボンド映画で、必ず観られていたお約束のルーティンをいくつか、この「慰めの報酬」では廃したからだと伝えられています。そのひとつとして、これまでボンド映画では必ずあった、敵役の人物らが、「ところで、ミスター…」などと言葉につまり、ボンド自身が「ボンド…、ジェームズ・ボンドです」と、あえて「ボンド」と名前を2回、述べて強調するなどの間をとった演出は廃止されたそうです。これらの改良は、「君のためなら千回でも」(2007年)など、本来はドラマ映画を得意とし、アクション映画のメガホンは、見方によってはミスマッチな感もあるマーク・フォースター監督の方針だそうで、007映画を作り続けてきた映画プロデューサー一族のバーバラ・ブロッコリも、このような007の伝統を受け継がないリニューアルを承認したとのことです。そういった見得を切るなどの儀式的なことを省いていった結果、映画の展開のスピードアップがはかられ、結果として、上映時間が短くなったものだと思われますが、これは同時に、ボンド映画をしのぎ、スパイ映画の現代の代表作になったと評されたりもする、マット・デイモンの「ボーン」シリーズの素早い展開を取り入れ、対抗したものではないか?と臆測されたりもしています。すでに「カジノ・ロワイヤル」で、かなりボンドのイメージを刷新した感がありましたが、21世紀版ジェームズ・ボンドのテコ入れはまだまだ続けられるようですね。根っからの007ファンがどのような反応を見せるか?が楽しみな最新作「007/慰めの報酬」の全貌がわかるのは、10月31日の世界最速でのイギリス公開ですが、日本では2009年1月に封切りです。
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