アメリカで今週13日(水)から公開される、ベン・スティラーが監督・主演し、ジャック・ブラック、ロバート・ダウニー・Jrとトリオを組んだ戦争コメディ映画「トロピック・サンダー/史上最低の作戦」の内容の一部変更や、場合によっては公開中止を求め、知的発達障害者の支援団体などが大規模な抗議のボイコットを行なう可能性を示唆したと、ニューヨーク・タイムズが報じました。この抗議の訴えの中心となっているのは、知的発達障害者のスポーツ活動などを支援し、自立をバックアップしていく国際組織スペシャルオリンピックのチェアマン、ティモシー・P・シュライバー氏です。では、製作費に困ったアホな映画監督が、マヌケな俳優らを騙して、本物の戦場で戦争映画を作ろうとする、バカなコメディ映画「トロピック・サンダー」の、いったい、どこがシュライバー氏の怒りを買ったのか?!と言うと、問題は映画本編の主な内容ではなく、ベン・スティラー扮する俳優タグ・スピードマンの代表作として、映画の中で紹介される映画中映画の知的発達障害者の映画「シンプル・ジャック」(写真左)の部分です。「シンプル・ジャック」が、知的発達障害者の人権を損ねているとシュライバー氏らに注目されるキッカケとなったのは、「トロピック・サンダー」がネットの口コミ宣伝のため、存在しない映画「シンプル・ジャック」の公式サイトを立ち上げてしまったからです(ココで紹介したミーガン・フォックスのマザー・テレサの映画と同じパターンですね)。抗議を受けた同サイトは即座に閉鎖されましたが、シュライバー氏は「元が断たれていない」として、映画を製作したドリームワークスに対し、「トロピック・サンダー」から、映画中映画「シンプル・ジャック」の部分をすべてカットするだけでなく、その抗議の根拠である、「シンプル・ジャック」の中で知的発達障害者の主人公を、周囲の者がイジメ、バカにするのに使っている不適切な言葉“retard”=“知恵遅れ”は言語道断とし、他の場面でも“retard”という言葉を使わないようにと、強く抗議を申し入れました。しかしながら、ドリームワークス側は、「トロピック・サンダー」はR指定の大人向けのコメディ映画であり、特定の人たちを中傷する目的の作品でないのは明らかとして、シュライバー氏の要求を全面的に却下しました。そのため、抗議が実らず怒ったシュライバー氏が、ならばと、スペシャルオリンピックの関係する知的発達障害者団体などに動員をかけ、力づくでも「トロピック・サンダー」の上映を中止させてみせるとボイコット運動を引き起こそうとしてるのが状況の実態です。ベン・スティラーが、「シンプル・ジャック」の場面で伝えたかったのは、単純な能無しのアクション俳優という設定のスピードマンが、人気やお金だけでなく、名誉まで得ようと主演男優賞狙いで、知的発達障害者の役に挑戦という筋立てからしても、現実の映画界で、俳優らが賞狙いに障害者や難病の患者を演じ、自分の演技力をアピールしようとするエゴのせこさを小バカにしたかったのは明らかで、むしろ、障害者の人たちはアンタらハリウッドのバカがダシに使っていい道具じゃないんだよッ!!、アタマ使ってオリジナリティを持てッ!!という批判が根底にあるのでは?!、そういった議論まで含めず、単に“retard”の言葉尻だけをとらえ、今や、知的発達障害者を“武器”として動員してやると、悪い言い方をすれば、ドリームワークスを“脅迫”してるようにも見えかねない、スペシャルオリンピック側もいかがなものか?!と、アメリカの映画サイトや、世論では、この問題をシラジラしく受け止め、呆れているようです。しかし、シュライバー氏が訴える不適切な言葉の使用などが望ましいことでないのは確かなので、日本公開時には、“retard”を字幕でどのように翻訳するのか?!、注目しておきましょう。また、この「トロピック・サンダー」では、この他にも様々に過激な描写が飛び出すようなので、テレビ放送は期待せず、映画館でご覧になることをお薦めします。日本公開は11月15日です。
日別アーカイブ: 8月 11, 2008
ニコラス・ケイジの殺し屋がタイ黒社会に挑むアクション映画「バンコク・デンジャラス」のメイキング動画!!
http://www.movieweb.com/v/V08H56puwyDHIO
タイのアクション・スター、トニー・ジャーの「マッハ2」製作をめぐるトラブルを紹介した記事の中で、ヒットマンなんかも出てきて、やっぱり、タイって、ちょっと危ないところなの?!なんて感じでしたが、そんなタイの黒社会を相手に、ニコラス・ケイジのヒットマンが活躍する最新作のアクション映画「バンコク・デンジャラス」が、来月9月5日のアメリカ公開を前に、メイキング動画を2本、公開しているので、ご覧下さい。本作は、香港人なのに、タイ映画で活躍し、現在はハリウッドに迎え入れられているオキサイドとダニーのパン・ブラザース監督が、自分たちの出世作「レイン」(原題は「バンコク・デンジャラス」/1999年)をリメイクしたものです。と言っても、ニコラス・ケイジが主演するにあたり、ほとんどストーリーを変えてるようなので、同名の新作と紹介した方が正確かもしれません。内容的には、ニコラス・ケイジが演じる一匹狼の殺し屋ジョーが、黒社会の要人暗殺を依頼され、やって来たタイのバンコクで、助手に雇った青年とその恋人がトラブルに巻き込まれてしまい、思いがけず彼らに絆を感じていたジョーは、自分が本当に果すべき使命に気づく…といった感じのようです。若いカップルを親身に助けるだなんて、ニコラス・ケイジはおでこの面積にふさわしく、晩年の寅さんみたいな領域に入ってきたんでしょうか?!、と、あまり期待はされていない本作ですが、パン・ブラザースは最近の映画「リサイクル -死界-」(2006年)、「妄想 diary」(2006年)など、観れば意外に個性的な、おもしろかったりもする作品を連発してるので、それなりには楽しめそうです。それにしても、ココの予告編では、さすが「ゴーストライダー」(2007年)だけに、バイクをカッコよくカッ飛ばしていたニコラス・ケイジですが、 ↑ 上のメイキング動画では、固定されたバイクの上で、扇風機の風を浴びながら、撮影していたのかッ!!というのがバレちゃって、ちょっとマヌケですよね。ま、それもニコラス・ケイジらしくていいかな?!と思う「バンコク・デンジャラス」は、今のところ日本公開の予定はなさそうですが、気長に待てば、いずれ観られるはず?!、ココにも本作の動画があります。ちなみにタイは、バンコクだけじゃなく、普通に旅したり、暮らすだけなら、けして危険なところではないと思います。むしろ、日本の都会より気楽に過ごせるかも…。映画も安いし、ゴハンもおいしい!!
http://www.movieweb.com/v/V08H78hosuBIKO
ハリウッド実写版「ドラゴンボール」の、素人が作ったにしてはガンバッたニセモノの予告編!!
ポスターとキャラクターの写真を発表しただけで、すでにファンの期待に押しつぶされ、絶対にヒットしないクソ映画と決めつけられている、ハリウッド実写版「ドラゴンボール」の予告編を、誰かが勝手に作ってみたニセモノです。こういった、いわゆるファン・メイドのニセモノ予告編はたくさんありますが、この予告編は、冒頭の20世紀フォックスのタイトルのところで、“20”の“0”がドラゴンボールになっていて、その後ろから、別のドラゴンボールがギューンッ!!と飛んでくるところなど、まさに本物の予告編も、きっとこうしたいに違いないと思うような出来栄えです。いずれ発表される本物の予告編と、どっちがカッコいいか?!、観比べてみるのが楽しみですね。ハリウッド版実写版「ドラゴンボール」は、2009年3月13日の日本封切りを皮切りに世界で公開。そろそろ先行版の予告編、出てもいいんですけどね。

J・J・エイブラムスが監督の最新映画版「スタートレック」がキャラクター・ポスター第2弾をリリース!!
パラマウント社内で行なわれたスタジオ重役向けの試写で絶賛された(ココ)、J・J・エイブラムス監督の最新作の映画版「スタートレック」が、以前、ココで紹介したスポック(ザカリー・クイント)らメイン・キャストに続き、エンタープライズ号の乗組員であるスターフリートたちのキャラクター・ポスターを公開してくれました。左上から時計回りに紹介すると(()内はオリジナルの「宇宙大作戦」の俳優)、まずは、コメディ映画「ハロルドとクマー」のシリーズで人気の韓国系アメリカ人俳優のジョン・チョウが演じるヒカル・スールー(ジョージ・タケイのカトー)、その隣りが、クエンティン・タランティーノ監督の最新作の戦争映画「イングロリアス・バスターズ」で、ブラッド・ピットとの共演が決まった、サイモン・ペグのスコッティ(ジェームズ・ドゥーハン)。右下は、スティーヴン・キング原作の「アトランティスのこころ」(2001年)に子役で出ていた、現在19歳のアントン・イェルチンのチェコフ(ウォルター・コーニッグ)。アントン・イェルチンは、今年2月にアメリカで公開された青春映画の主演作「チャーリー・バートレット」が好評で、将来が期待されてる若手俳優のひとりです。そして最後は、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズに出ていたカール・アーバンのマッコイ(デフォレスト・ケリー)。キャラクター・ポスターはこれでもう終わりかな?!と思うのですが、まだウィノナ・ライダーが演じる、スポックのお母さんアマンダとか、注目キャストが残っているので、もうワンセットぐらいリリースされるかもしれませんね。尚、それぞれのポスターは個別にクリックで拡大して、ご覧になれますよ。この最新映画版「スタートレック」は、アメリカで2009年5月公開の予定です。
8月8日~8月10日の全米映画ボックスオフィスBEST10!!
*数字は、週末の興行成績-(公開館数)-トータル成績 の順です。
第1位 第2位
第3位
第4位
第5位
第1位「ダークナイト」(公開中)
$26,030,000-(4,025館)-$441,541,000
第2位「パイナップル・エクスプレス」
$22,400,000-(3,072館)-$40,474,000
第3位「ハムナプトラ3/呪われた皇帝の秘宝」(8月16日公開)
$16,113,000-(3,778館)-$70,671,000
第4位「旅するジーンズと19歳の旅立ち」(公開中)
$10,770,000-(2,707館)-$19,712,000
第5位「ステップ・ブラザース」
$8,900,000-(3,182館)-$80,903,000
第6位 第7位
第8位
第9位
第10位
第6位「マンマ・ミーア」(2009年公開)
$8,081,000-(3,194館)-$104,017,000
第7位「センター・オブ・ジ・アース」(10月25日公開)
$4,855,000-(1,970館)-$81,759,000
第8位「ハンコック」(8月30公開)
$3,300,000-(2,258館)-$221,709,000
第9位「スゥイング・ボウト」
$3,106,000-(2,213館)-$12,002,000
第10位「WALL・E / ウォーリー」(12月公開)
$3,045,000-(2,144館)-$210,112,000
★日本でも先週末、公開されたバットマン最新作「ダークナイト」が4週連続でトップ!!、史上まれな激戦と言われた、この夏の映画興行ランキングを1ヶ月間も支配している。その結果、トータルの興収を4億4,154万ドルとし、ついにアメリカ国内での歴代興行記録で第3位だった「シュレック2」(2004年)の4億4,122万ドルを抜き去り、代わりに第3位に立った。第2位の「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」(1977年)=4億6,099万ドルまでも、後り2,000万ドル足らずなので、今週中には確実に入れ替われる射程圏内に入れている。数字的には、先週の4,380万ドルから、約4割落ちて、辛うじて首位をキープした感もあるので、これから順位の下降が始まりそうだが、いったい、何週間、ランキングに居続けるのか?!、楽しみですね。
★第2位に初登場した、セス・ローゲンと、「スパイダーマン」シリーズのジェームズ・フランコが主演のアクション・コメディ映画「パイナップル・エクスプレス」(ココに予告編)は、6日(水)に公開され、金曜日(8日)までは「ダークナイト」を抜いて、首位だったものの、先週の「ハムナプトラ3」と同じく、土日でドッと「ダークナイト」に抜き返されるパターンで、首位を奪うことができなかった。しかし、公開館数に着目すると、「ダークナイト」の方が、953館も多く上映しており、その数の力で負けただけで、単館ベースの売上げに置き換えると、「パイナップル・エクスプレス」=7,291ドル、「ダークナイト」=6,467ドルとなり、首位は入れ替わってしまう。主人公のふたりがジャンキーで、映画がR指定されていることを踏まえると、大いに健闘してると言えそう。しかしながら、この「パイナップル・エクスプレス」を製作したソニー・ピクチャーズは、セス・ローゲン主演で、ブルース・リーが出ていた往年のテレビシリーズ「グリーン・ホーネット」を映画化し(ココに記事)、同社にとっては、第2の「スパイダーマン」シリーズと呼べるブロックバスターの看板映画にしたい思惑があるようなので、その可能性を探る試金石でもある本作は、できれば、もう少しヒットしてほしかったかも…。セス・ローゲンはアメリカ映画界では、今や、№1と言っても過言ではないコメディ俳優ですが、日本での知名度は、アダム・サンドラーや、ウィル・フェレルなどに及んでいないので、日本のソニー・ピクチャーズとしては、できれば、この「パイナップル・エクスプレス」の日本公開をヒットさせ、セス・ローゲンの人気を今のうち上げておく努力をしなければならないのでは?!
★第4位に初登場の「旅するジーンズと19歳の旅立ち」は、2005年に公開された「旅するジーンズと16歳の夏」の続編で、不思議なジーンズを手に入れた、4人の親友同士の女の子たちの3年後を描いた、さわやかな青春映画。前作では、テレビシリーズ「ギルモア・ガールズ」で人気のアレクシス・ブレデルが出てることぐらいしか、キャストの売りのなかった、このシリーズですが、前作公開後、主人公のひとり、カルメンを演じてるアメリカ・フェレーラは、テレビシリーズ「アグリー・ベティ」で大ブレイクし、同様に、ブリジット役のブレイク・ライヴリーも、テレビシリーズ「ゴシップガール」が大ヒットで、全米ティーンの憧れの女優№1に成長するなど、将来性のある女優の先物買いが成功し、前作のオープニング成績980万ドルを倍増させ、ランキング上位に着けることが出来た。4人の主人公のあと1人、アンバー・タンブリンも、少し方向性が違うが、やはり、「呪怨 パンデミック」(2006年)などのホラー映画に連続主演し、マニアックなオタク人気を集めている。この「旅するジーンズと19歳の旅立ち」について、以前、日本のワーナー・ブラザースのサイトで、公開予定が2009年秋とされていたことから、いくら何でも、それは待たせすぎだろう!!とイチャモンをつけてしまったのだが、その文句を聞き入れてくれた?!訳はないでしょうが、ワーナー・ブラザースはナンと、この映画を8月6日に日米同時公開という、スゴイことをさり気なくやってくれています!!、公開館数は少ないながらも、いちおう全国の主要都市では上映されているので、夏休みに観るにふさわしい、楽しい旅の映画として、お薦めします。
★第6位の人気ミュージカルの映画化「マンマ・ミーア」は、「ダークナイト」と同時に公開され、「ダークナイト」が次々と興行記録を書き変えることばかりが話題にされる陰で、目立っていないものの、その「ダークナイト」旋風の猛威の中で、着実に支持を集め、気づくと1億ドルを超える大ヒットになっている!!、この「マンマ・ミーア」の存在がなければ、「ダークナイト」は「タイタニック」(1997年)の空前の記録6億ドルにもっと迫る勢いになれたかも?!
★第9位のケビン・コスナーの大統領選挙ネタのコメディ「スウィング・ボウト」は、先週初公開の第6位に続き、ランクインをキープ。ケビン・コスナーがセルフ・プロデュースし、自分で捻出した製作費2,100万ドルの約6割まで取り返した計算だが、来週にはたぶん、チャートから消えてるだろうことを予想すると、2,100万ドルの低予算ですら、映画館では回収できないケビン・コスナーは、自分がいかに落ち目のスターか、自ら率先して証明した、裏目の皮肉な結果となってしまいそう…。「ウォーターワールド」(1995年)で製作費1億7,500万ドルを使っていたのがウソのようですね。
★第10位に踏みとどまってるディズニー・ピクサーのアニメ映画「WALL・E / ウォーリー」は、そろそろ限界?!、公開前に予想された今年最大のヒット作とはならず、余裕で倒せると思っていた「カンフー・パンダ」(公開中)にも、まだ負けてしまっています…。公開後、映画の中の現代批判的なネガティヴな要素に着目した紹介や、小難しいレビューが出すぎたことが影響したのかも?!、社会派映画ではないはずなんですけど…。もっと単純に楽しんでッ!!とディズニーは主張した方がよかったかもしれません。
★最後にオマケで、「旅するジーンズと19歳の旅立ち」の予告編をどーぞ!!
http://www.movieweb.com/v/V08E6bfpvwyBET