興行成績は思ったほど伸びてはいないものの、見応えある映画の内容が高い評価を受けている「インクレディブル・ハルク」(8月1日日本公開)の監督ルイ・レテリエが、AlloCiné という映画サイトのインタビューに答える中で、「スーパーマン」シリーズについて質問され、ワーナー・ブラザースから「次の新作の監督に…」と自分にオファーがあったことをほのめかし、大きな映画ニュースとして取り上げられました。しかし、このインタビューは動画の形で、同サイトで公開されており、ルイ・レテリエ監督が自分の母国語のフランス語で話していることから、そのフランス語を英語に翻訳した際の食い違いなどもあり、誤解が発生したらしく、ルイ・レテリエは慌てて、「現在の『スーパーマン』シリーズはやり直しが必要だと言うことを言いたい主旨で述べたもので、ワーナー・ブラザースからの依頼は事実としてはありません」と、訂正の釈明コメントを発表しています。このルイ・レテリエの発言が、本人が思う以上に大きな事件になってしまったのは、先にココでお伝えした、アンジェリーナ・ジョリーの殺し屋映画「ウォンテッド」(9月20日日本公開)の原作者マーク・ミラーが、「『スーパーマン』シリーズは、ワーナー・ブラザースとのコネクションを持つ某監督と自分とで仕切りなおす」との爆弾発言に関連し、ルイ・レテリエが次回作のリメイク映画「タイタンの戦い」(2010年公開 ※オリジナルは1981年のレイ・ハリー・ハウゼンの作品)をワーナー・ブラザースで製作していることから、マーク・ミラーが匿名であげた監督はルイ・レテリエだったのではないか?!との憶測も含まれ、話がふくらんでしまったものです。ブライアン・シンガーが2006年に監督した「スーパーマン・リターンズ」の続編「スーパーマン:鋼鉄の男」は、すでに引き続き、ブライアン・シンガー監督のメガホンでアナウンスされていますが、こうして今だに「スーパーマン」のやり直しの話題が耐えないところを見ると、やはり、ワーナー・ブラザースは、ブライアン・シンガーを「スーパーマン」シリーズからはずすつもりなのかもしれません。「スーパーマン・リターンズ」は、当然の大ヒットを見込んで費やした莫大な製作費を、まさかの国内の映画館の興行だけでは回収できないという不発に終わり、その原因として、スーパーマンの恋人ロイス・レインが他人の人妻となり、夫を騙して、スーパーマンの子どもを夫婦の子として育てているなどの主婦向けメロドラマのようなストーリーがモラルに反し、スーパーマンらしくないと批判を浴びています。そのため、ブライアン・シンガーはやり直しとして、すでに次の「スーパーマン:鋼鉄の男」をアクションをギュウ詰めにした娯楽作として、鬼神のように怒り、暴れる、恐ろしいスーパーマンを観せると公言していますが、その“恐ろしいスーパーマン”というのも、また方向性を間違えているのでは?!と、すでに指摘がされています。加えて、このブログでは何度もお伝えしているように、ブライアン・シンガーは、トム・クルーズの俳優生活25周年記念となるべき、今夏公開予定だった戦争映画大作「ワルキューレ」を公開不可能な大失敗作に仕上げ、おクラ入りにして、トム・クルーズのキャリアを破壊してしまいました(「ワルキュー」は作り直して、2009年2月に全米公開の予定)。そのようなことから、ワーナー・ブラザースも慎重になっているのだと思いますが、先のルイ・レテリエのニュースが報じられる中で、映画ジャーナリストや映画ブロガーが、「自分たちが情報としてつかんでる『スーパーマン』の監督はルイ・レテリエではない」などと思わず書いたりもしているので、ワーナー・ブラザースは「スーパーマン:鋼鉄の男」のネガティヴなウワサを止めるためにも、現時点での正確な進行状況を開示すべきかもしれません。