公共放送なのにCMがあることで民間のテレビ局だと思われている、
イギリスの“
チャンネル4”が、今月7月15日から1ヶ月間かけて行なう、1999年に亡くなった
巨匠スタンリー・キューブリック監督の
名作映画を回顧放送する
特別企画の宣伝のために作った
CMです。
主観の目線で移動するカメラの前を、
おそろいの衣装を着た双子の女の子たちが横切るあたりで、すでにピンとくると思いますが、カメラがたどり着く先は、
スティーヴン・キング原作の「
シャイニング」(1980年)に出てきた
閉鎖中のホテルの長~い廊下。女の人が「
ミスター・キューブリック、
シナリオです」と台本を手渡してくれ、スタッフが廊下に、あの
シャイニングの力を秘めた少年ダニーが乗っていた三輪車を丁寧にセットします。カメラは、実は「
シャイニング」
の撮影に向うスタンリー・キューブリック監督の目線で、このCMを観ている間、視聴者は、
スタンリー・キューブリックの気分になれる!!という、映画ファンには
楽しい仕掛けです。そんな、このCMが
ワンシーン・ワンカットの長回しスタイルの移動撮影で作られてるのは、この
手ブレしないカメラの
ステディカムが、「
シャイニング」
で有名になった撮影技術だから…まで、ひっかけた
シャレになっていることが、映画ファンの方なら解ると思いますが、一般には、そこまで察してもらえないかもしれませんね。当時のスタンリー・キューブリックのインタビューの中で、キューブリックは、この「シャイニング」で、「
一番、
ギャラが高かったのは自分、
その次がカメラマン、
主演のジャック・ニコルソンは3番め…」と、
いかにステディカムの映像にこだわったかを語っています。余談ですが、「シャイニング」のメイキング・ビデオの中で、
ジャック・ニコルソンが、「
共演者へのエチケットとして、
俺はワンカットごとに歯を磨くんだよ。
だから、
歯ブラシだけは手放せない」と、
熱心に何度も何度も歯を磨いていたのが、妙に忘れられません。現在も、
その習慣は続けているんでしょうか?!