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クリント・イーストウッドに因縁をつけ、くだらない口論をしているスパイク・リー監督の新作「セント・アンナの奇跡」(Miracle at St. Anna)に、果たして、どこまで期待していいものか?、と疑心を抱いていたのですが、この、近年まれに見る力強い映像と、ストーリーの奥の深さを予感させる、素晴らしい謎かけの出だしの予告編を見せられ、ガツンと一発、頭を殴られたような映画的ショックを受けた気がします。予告編の始まりは1983年12月19日。ラズ・アロンゾ演じる、年老いた黒人の銀行員へクター・ネグロンが、強盗でもない客をいきなり銃殺。へクターを捕まえた警察は、彼の家から、恐らく、1944年8月8日にナチスに破壊されたサンタ・トリニータ橋(後に復元)の装飾だった彫像の、まさに原物の頭部と思われる、時価にして、500万ドル(5億ン千万円)は下らないイタリアの美術品を発見する…。いったい、彼はなぜ、そのようなお宝を持っているのか?、そして、なぜ、それを金に変えようとはしなかったのか?、新聞記者のジョセフ・ゴードン・レヴィットの問いかけに、へクターは、かつて自分が第二次大戦中、黒人ばかりの第92歩兵部隊に所属し、イタリアに派兵された時、ケガを負ったイタリア人少年を助けたばかりに、彼の小隊が、地元の村人らと共に、敵に包囲されてしまった時の出来事を語り始める…、やがて、それは1944年8月12日に起きた、560人の村人が皆殺しにされた、ナチのSSによるセント・アンナの大虐殺に関わる歴史の真実へとつながっていく…、という感じでしょうか?!、スパイク・リーは、この予告編を観るだけでも、オスカーに絡んでくるのは必至のような気がします。これまでにも名作を作っても、アカデミー会員から無視されてきたスパイク・リーですが、本作は、ディズニー傘下のタッチストーン製作の映画だけに、スパイク・リー嫌いのハリウッドの連中も、ディズニー映画をハナから無視する訳にはいきませんから、スパイク・リーが、ついにハリウッドのヒノキ舞台に立つ姿が見られるかもしれません(イーストウッドにケンカを売ったことが影響しなければ…ですが)。「セント・アンナの奇跡」の全貌が明らかとなり、見届けられる日が楽しみです。本作の公開はアメリカで今年9月の予定です。ところで、これは余談ですが、アメリカでは本作の後、12月に、ダニエル・クレイグが1200人のユダヤ人を救った実在のヒーローを演じる映画「デファイアンス」が公開されます。そのようにして、時ならぬ戦争映画復活ムードが高まり、人々があらためて、ナチとヒトラーへの憤りを感じたところで、2009年2月にトム・クルーズの戦争映画「ワルキューレ」が満を持して登場しますが、映画館に訪れた観客は、ナチの将校のトム・クルーズがヒトラーの暗殺に失敗して終わる映画にズッコケる…、というブームの展開になってしまいかねません…。やっぱり、トム・クルーズはツイてないのかな…??